最高裁判所第三小法廷 昭和33年(オ)29号 判決 1960年10月04日
上告人 有限会社丹後
右代表者代表取締役 寺田三郎
右訴訟代理人弁護士 松本乃武雄
被上告人 岡本磨佐
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人松本乃武雄の上告理由第一点について。
仮執行免脱宣言の申立は、判決事項の申立であるから、これに対する裁判は、口頭弁論に基いてなすを要すること当然であり、その申立は、口頭弁論において、その終結前これを陳述するを要することも亦、明かである。
本件において、控訴代理人(上告代理人)から右申立書が提出せられたのは、原審口頭弁論終結後であること、記録上明白であるから、原審が所論申立につき裁判をしなかつたことに、所論の違法はない。
論旨は、理由がない。
同第二点について。
被上告人が原審において、本件建物を訴外寺田三郎から買受けた旨主張して居ることは原判決引用の第一審判決事実摘示に徴して明かであつて、所論書証により被上告人が売買予約及びその完結を主張して居つたものと解し得ないから、論旨はその前提において失当である。
論旨は理由がない。
同第三点について。
原審は、甲四号証の契約の趣旨を原判示の如く買戻特約付売買契約と解した上、所論寺田三郎の供述を以つては、この認定を左右し得ないものとして居るのであつて、この判断はこれを是認し得られる。論旨は、単に原審の事実認定及び証拠の取捨判断を非難するにすぎない。
論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔)